迷い猫 (下)
あんな会話をした後だからか、それから流川は居残りに付き合ってくれとは言わなくなった。ただ、三井が顔を出した時は、ロングシュートのフォームをチェックしてもらったり、試合形式の練習をした後に自分の攻めや守り穴はなかったかと、三井に意見を求めたりした。* _" h m8 w0 c# C6 _2 ^$ F9 t# n
三井は案外指導者向きだったのかもしれない。流川の問いに「俺が教えることはなんもねえだろう」と苦笑しながらも、流川の持ち味を殺さぬ程度に、的確なアドバイスを与えていた。5 {* ]" c4 r8 H0 {$ Q+ p; R9 t
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「あの二人、前からあんなに仲良かったっけ?」
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ウオータージャグから彩子達が作ったポカリを注ぎながら、宮城が言った。彩子が頭を振った。
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6 p3 R8 w9 e: a2 @; s) v' G4 A; D「まあ、仲悪くはなかったけど、あんな感じになったのは最近よね。正直、流川があんなに人に懐くの初めて見たわ」( T# s. W- g* W8 a6 Q% G B
寿受主义——爱就是给他全部!% y9 ?' Z, q/ i/ g' Z& g" L3 J
「最近三井さん妙に丸くなったからな。そのせいか?」
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, \- E) n& a- R7 k. a6 \& Twww.micchi14.net「さあ?流川がそんなこと気にするかなあ?」( x5 M9 O* y0 v! k; A
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) C! K+ L$ u) {( {$ g1 f寿受主义——爱就是给他全部!傍から見ていてもこんな感じだったのだが、その日の流川はいつもと少し様子が違った。
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www.micchi14.net: R: a! A5 Q" u! c6 H
部活開始の時間から少し遅れて流川は体育館に現れた。部室にいないのは先に行ったからだろうと思っていた皆は、「お前でも遅れることがあるんんだな」「中間の点数が悪すぎて居残り課題でも出されたか?」と主に宮城にからかわれたが、いつものように無言のまま恐らく遅れたことに対してだろう、ぺこりと頭を下げただけだった。
% b0 f {) G7 C7 O3 N そして更に遅れて体育館入りした三井はこの事を知らなかった。
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そして始まった練習で、流川は普段より精彩を欠いていた。だがそれにはっきり気づいたのは宮城と三井、そして彩子ぐらいで、ほかのメンバーはいつもは完全無欠に見える流川をすこし身近に感じた程度だった。
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7 j5 {* W! x; p. Y 三井は最初、腹の具合でも悪いのかと思っていた。締まりがないというか、今一つ踏ん張りの効かない感じがそう思わせたのだ。しかしそのうち、そうではないと気づき始めた。何がどう、と聞かれても返答に困るところだが、動きに心がないというか、表面的な流川という入れ物だけが動いているように思えるのだ。だが流川という自我が完全に失われているというのとも違う。心と体が何かで隔てられていて、壁の向こうで本物の流川が困惑しているような気がするのだ。2 x- e$ t/ r S( E. @
U9 a) x2 o( V$ C ^; R$ u& M(宮城達にはどう見えているんだろう?)# d, y5 M! l. j7 o& O8 e7 a
3 X% D/ q0 e$ Y% M1 d- ]0 O三井は隣で流川の動きを見つめている彩子を見た。小首を傾げてため息を吐く彩子の姿は(無理しなくていいのに)と語っていた。* m- z, j8 N/ j i, O$ q1 W
共にプレイしている宮城は(畜生、具合悪いんなら言えよ)と語っている。二人とも、体調不良だと思っているようだ。- Z2 e' E: o+ T) D& ]; ]4 g p
二人とも、普段からよく気のつく人物だ。おそらく、一般的には自分よりも。となると、これは自分にしか看取できない種類の異変なのか?そう思うと三井は流川が心配になってきた。9 [2 G8 N* Z2 X* T' k: `
今日は早々に退散するつもりだった三井なのだが、流川が気になって結局最後まで残ってしまった。練習中流川は一度も三井とまともな口を利かなかった。4 G" C9 Q" [2 y9 d' K1 d. I
といっても、これまでの流川を考えれば「元にもどっただけ」なので、周囲の者はそれほど奇怪には感じなかったらしい。宮城や彩子は、体調が悪いから口を利くのが億劫なのだろう、と思ったようだ。
# l, d6 D& n/ j1 l7 `; C これまたいつも通り居残り練習をしようとする流川に、宮城が声を掛けた。5 h4 A8 S' G6 H+ f
7 [0 r, ?+ c6 _: O N, n# _5 e9 k寿受主义——爱就是给他全部!
3 p2 K3 Z: s& |( U寿受主义——爱就是给他全部!「おい、流川。今日はやめといた方がいいんじゃねえか?」3 B: O' F* A; z5 Q; r$ w( }
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「そうよ、流川。具合が悪い時は無理せずに帰りなさい」寿受主义——爱就是给他全部!) g$ w) z9 i1 k0 C( C9 k
www.micchi14.net4 H2 A& q4 i3 }5 M: q" y3 d
「え?流川、具合悪かったのか?」( M; j2 k B4 N; Z }
6 Y7 t1 }+ n" E; v: ~' {「気づかなかったな。けど、寒い時だし、ホント、用心した方がいいぞ」寿受主义——爱就是给他全部!; d- d0 ]8 `& f6 N7 q* z4 L
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1 |; A9 [1 l6 a+ M- t# l体育館を出ながら宮城と彩子が言う言葉に、他のメンバーが驚いている。流川は表情を変えずに言った。/ c$ u9 U3 F% ]) g( t- M. [
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「なんともない。大丈夫す」* B. P$ B! H) P# N
! {; z$ Q5 ^% t. @" ~www.micchi14.net「お前なあ」% H7 k5 Y' q$ k' h! v: K: o
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5 o4 R' R/ L- _% \ @細い眉の間を顰めて腰に手を当てた宮城を、三井が遮った。
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「俺がついてるよ。この時期だし、遅くまで残るつもりはねえから、俺が帰る時にこいつも連れて帰る。だから、心配しねえで帰っていいぜ」
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' h& Z1 ^' l; s$ o7 b7 M% r「アンタもねえ……」) P- c5 {& u) J
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; @- E/ u6 {3 E% e0 Z顰めた眉を更に歪めて宮城は別の説教を始めようとしたが、彩子に袖を引かれて思いとどまった。宮城はため息を吐いて言った。
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寿受主义——爱就是给他全部!& T+ r# v v% |" W3 @6 {
「ホントに早く帰りなよ、二人とも。じゃ、あとお願いしマス」
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" |9 c0 B5 y9 o6 K+ t) `寿受主义——爱就是给他全部!/ m3 \$ R# j$ t) R( k5 Y& ?2 d
気遣わしそうな目をする宮城にひらひらと手を振り、三井は振り返って流川を見た。その表情はやや改まっていたが、俯いた流川は三井の顔を見ていなかった。. S5 j: \; K# S4 M4 s6 [
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3 r7 S& L5 f( L* _' Lwww.micchi14.net「流川、お前さ……」
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言いさした時、流川の体がぐらりと傾いだ。三井が驚いて目を見開いた時、踏みとどまった流川が勢いよく顔を上げた。www.micchi14.net9 D5 o' V& Y! n
その目は、完全に流川のものではなかった。寿受主义——爱就是给他全部!+ R* A0 [% T! V( `3 {; x: l
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$ N, c( ]2 E5 F5 x S: V「流川っ!!」
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三井が叫ぶと、流川は眉間に鋭く皺をよせ、全身から濛々と黒い煙を噴きだした。法力を持つ者にしか見えない煙。おそらくこの学校内では三井しか見える者はいないだろう。三井は叫んだ。
! ~3 ~$ X9 A% g9 }! F$ ]/ h0 j/ P寿受主义——爱就是给他全部!
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「流川!一体どうした?!何があったんだ!?」
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2 u0 l( W/ W- P' b8 I. L# Q流川は答えない。ただ更に濛々たる瘴煙を吹きあげながら、敵意に満ちた目でこちらを睨んでいる。www.micchi14.net6 f, H! W& @* {% N" o- _
だめだ。完全に正気を失っている。何かに憑かれているのか?でも一体何に?三井は周囲を見回した。瘴気に満たされた体育館の壁や屋根が妙に赤みを帯びて見える。開きっぱなしになっている体育館の扉から、桜木と宮城、彩子、晴子が帰っているのが見える。桜木がこちらに向かって何か言い、地団太を踏んで腹を立てている。そんな桜木に晴子が何事か声を掛け、デレデレと締まりない顔で桜木が答えながら去ってゆく。こちらの異常な様子に全く気付いた気配はない。
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+ z+ y( J- Y, E(結界!!) Q6 h, x0 u7 j
4 z# `4 S5 f( q& G# K+ ?0 n5 J先ほど大量に吹きあげた瘴煙で、強力な結界を張ったらしい。おそらく、外の人間には仲良く1ON1をしている幻でも見せているのだろう。だとすれば、最初から狙いは三井だったということになる。三井は流川の形をした何かを睨んだ。
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「てめえ、誰だ!何で俺を襲うんだっ!」www.micchi14.net7 @6 z1 }/ f* ?" o+ f
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『知りたければお前の父に聞けぇっ!!』
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その言葉は音声ではなく、三井の脳に直接響いてきた。流川は三井に突進し、指先から太く長く飛び出した銀色の爪で三井に襲い掛かった。
. y: M& d4 p8 r1 e" T t: p# c3 o8 b三井は慌てて横跳びに飛びのいたが、肩口が一筋切り裂かれた。三井は、肩を押さえつつ悟った。
! J( n. H Y; A, g. d この攻撃は全て幻覚だ。実際の自分には傷はついていないし、血も流れてはいない。しかし、痛みは本物で、流された血液分の気と生命力は本当に失われてゆく。幻覚世界で足を切断されれば実際に足は動かなくなるし、死ねば本物の自分も死ぬ。現実世界の医療や科学では、どうにもしようがない。それが陰陽術、呪いというものだ。
# R. `, f y9 A+ B! Fwww.micchi14.net寿受主义——爱就是给他全部!9 @+ W0 `3 @! M6 x
流川は狂気に満ちた目を輝かせ、息もつかせず三井に襲い掛かってくる。力もスピードも、実際の流川だ。体力や敏捷性は桜木ほどではないにしろかなりの物がある。しかも、三井が突然の出来事に戸惑っているのに対して、流川の方は完全に自分以外の何かに支配され、箍が外れたように力を振るっている。三井はたちまち組み伏せられ、刃物のような爪を喉首に突き立てられようとしていた。
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「くそっ!!」; ?& z0 F) Q3 a& U2 [
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さすがに追い詰められた三井は本能のままに危機を回避すべく身をよじって逃げた。間合いを取り、逃げる際に頬につけられた傷から流れる血を、手の甲で拭う。
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5 C# M4 P+ f/ ?( ewww.micchi14.net「親父がお前に何をしたのかは知らないが、流川は関係ねえだろう!そいつから出ろ!」7 n/ }* n/ R, V* X* }
6 m" I, R) J8 n2 lwww.micchi14.net『楓とて我が一族の末端に連なる者、我らの千年の恨みを晴らすためにその身を使われたと知れば、楓も喜ぶだろう』
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3 R" h, S$ `4 J' R「何だと?!」/ v9 C: [% o& X$ p+ T; S$ S
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千年の恨みというのが何のことかは三井には分からなかった。しかしこいつ───流川に術をかけた主が一族の末端と言っているからには、流川は陰陽道を使う物、すなわち陰陽師の一族ということになる。6 G8 r& W7 y. Z
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$ }1 K) L9 u. I. t寿受主义——爱就是给他全部!「そんな……しかし流川からは一度もそんな気を感じた事ねえぞ」www.micchi14.net$ l3 A$ l" ?0 H
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『それはそうだ。この出来損ないは一度も陰陽術の修行をしなかったからな。母子ともに出来損ないだ。だから巫蟲の器に使ってやったのだ!』
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; t8 u+ U& p; z# t) x" N5 Swww.micchi14.net巫蟲の器。ということは、今流川の体内に蟲が入っているのか!流川の様子がおかしかったのは、意識の一部を蟲を通してこいつらに支配されていたからなのか!0 A3 V7 ?( S+ l" O6 A) \# B. ^
言い終わると同時に流川の手が素早く印を切り、大量の虫が窓や床や倉庫の扉の隙間から押し寄せてきた。羽虫は空を飛び、蟻やムカデは地を這って、三井の体に取り付こうとする。寿受主义——爱就是给他全部!- w) g$ @ {4 ] B
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「あっ!……っつうっ!」/ C# d, H( v/ l& V
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虫が取り着いた場所からは黒い瘴煙が上がり、物凄い熱を感じて皮膚が焼けただれた。三井は意を決した。多少覚束ない手つきで九字の刀印を切る。 c$ D# {* l$ O" B4 l: X
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6 `- A) f/ t' f( e" P' K) {www.micchi14.net「天・元・行・躰・神・変・神・通・力!」
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声と同時に体に貼りついていた虫が飛び退るように離れた。周囲にいた虫たちも、虫にありえない速さで一メートルほど退く。しかし、すべての虫を消し去ることは出来なかった。
6 n( B, q! `$ j0 w% s 三井は今の自分にできる唯一の術、鳥寄せで鳥たちの力を借りようと考えた。急いで剣印を結び、真言を唱える。6 \" ^% ~* p" c' S. o
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# o9 \* `% `$ b「唵迦楼羅娑婆訶!」
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7 v* y- k' y9 \www.micchi14.netだが、何も来ない。子どもの頃から鳥寄せが得意だった三井は、信じられない思いで周囲を見た。体育館の入口で数羽の蝙蝠が飛び回っているのが見える。
( g/ D. r' G0 Y2 Y" t+ h+ n 三井は舌打ちした。結界に阻まれて、術がうまく届かない。しかも時間が時間、ほとんどの鳥たちは暗闇の中で目が見えないのだ。唯一三井の波動を聞きつけた蝙蝠たちも、結界を破って中に入ることが出来ずにいる。焦る三井の頭に、流川を操る者の哄笑が響いた。) N, o* r D) K8 V4 ^& ?
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4 k6 t7 p; e. p0 l( ^% D% J+ R6 L『はっはははは!ひよっこめ、多少は修行をしたと見える。だがこっちは快適だぞ。この木偶の棒も潜在能力だけはふんだんに持ち合わせておるからの。こやつの法力と若い体を使い放題だ!わはははは』
3 o7 L. o6 O3 r. qwww.micchi14.net0 ^* j# N5 Z5 I6 z( \1 I2 F
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何てことだ。こいつは流川を蟲の隠れ蓑に使っただけじゃなく、流川の能力で蟲の力を増幅するつもりなのだ。そんなことをすれば、器である流川の魂は蟲毒に侵されて破壊されてしまう!
' X+ Z. ^9 c/ |! G 『出来損ない』 流川に憑いた蟲が言った言葉が三井の脳裏に甦る。陰陽師の家に生まれていながら修行をしないのは出来損ないなのか?たったそれだけのことで、一個の人間の価値が決まるのか?他の道を選んだことが、そんなに悪いのか!三井は腹の底が熱く滾るのを感じた。www.micchi14.net8 W9 z% v! b0 r9 A" u% G2 [
7 Q/ {0 M R0 f) y# t) J2 f$ v笑いながら流川が掴みかかって来る。逃げようとする三井に向かって凄まじい速さで九字を切り、真言を唱え始めた。) D+ P0 `% O, f
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8 U4 |7 _2 {' D( s9 z) i# Z. gwww.micchi14.net『南莫三満多嚩日囉赧戦拏摩訶路灑拏娑破タ也吽怛羅タ悍漫・・・』: q d1 h; ^& H
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「……嘘だろ!」
8 |/ M9 C" G2 [7 s! [; U9 _& J. Y& c$ |寿受主义——爱就是给他全部!
) a+ `$ C3 W3 n% y# Uwww.micchi14.net寿受主义——爱就是给他全部!0 p# Q5 ~* Y# s+ ^: l: ^- f
まともな術者なら、生身の人間に向かって不動縛術を行使したりはしない。気づいた三井は呪詛封じをしようとしたが到底間に合うはずもなく、体育館の床に押し倒され、流川の銀の爪が両肩に深く食い込んできた。動かなくなった三井の体に再び虫たちが近づき、ぞろぞろと瘴気を纏って登ってくる。腕や首、手足とと事構わず咬みついて、三井の体内に瘴気を吹き込む。食い込んでいる爪の先からも、猛毒のような瘴気が送り込まれた。
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H% O1 l' p. @6 j. pwww.micchi14.netwww.micchi14.net( F2 Q4 c3 v" @4 `! p
「うぐうううっ!」寿受主义——爱就是给他全部! C5 R4 b" h" T# ~" j5 I; d
www.micchi14.net4 Z1 w) P& y3 G4 [3 O0 u4 N
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苦悶する三井に悪意に満ちた声が響いた。2 S C0 b. a. A1 a8 u3 T
9 i, d0 [% ]( E* C# }+ ~& N寿受主义——爱就是给他全部!
0 @+ h S4 _ A" o' d5 [/ Z$ V『苦しめ!紀子と同じように、苦しんで苦しんで死ぬがいい!!』寿受主义——爱就是给他全部!, @- x$ N4 _8 I' H: y, m
寿受主义——爱就是给他全部!" L& i1 r6 s- p' w/ a+ r% s3 ~
3 B! z! k1 `' H s3 S! k& pギチギチと肩に食い込む長い爪の先から、瘴気と共に切ないほどの胸の痛みが三井の体に流れてきた。! e9 d5 m9 R' b" N
, o+ q: T" P$ N* G* j! ^& W0 u(何だ?この胸苦しさは……)2 e4 G4 Z2 i1 O3 j' N/ Y
; U/ s) ], i* j. U& H# p
, [6 o+ ]. b! U「うあああああああっ!!」
2 Q$ G. I7 b- K. m7 g% ~ p7 rwww.micchi14.net i4 [3 q I# D. H2 r% R5 q$ Y$ q
- T" g- |0 F |7 ]& S% i流川の爪が三井の胸を抉った。爪先から黒い瘴気を噴きだしながら、五本の指で五筋の傷を三井の胸に深々と刻む。だがその時、三井の胸によりはっきりと何者かの悲鳴が響いた。寿受主义——爱就是给他全部!3 b' h+ ] Y) B1 p3 r
三井は痛みを堪え、物凄い形相で襲い掛かっている流川の目を覗きこんだ。www.micchi14.net& z/ p* f0 V, {# ^3 E# p
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瞳が揺れている。流川の親類だという蟲の主に支配されながら、その奥深い所で真実の流川が必死で抗っている。こんなことはしたくない、三井を傷つけたくないと蟲毒に侵されながら必死に戦っている。. u# {! \# f( P" ~; B, q9 e, w
* n: X5 G1 N: J6 x(くそうっ!!)7 o) l# S1 m! U; Z
9 D! K. D& o- {3 d& o2 l. ~ どうにかして動こうと闇雲に足掻いて三井は気がついた。縛術が、完全には効いていない。おそらく術をかける際に、深層意識の中で流川が抗っていたからだ。! Z) q! ~$ R2 o8 D, c' _2 F
三井は全身の力を振り絞り、動かすことのできる両の手の肘から先を動かして、のしかかっている流川の体を自分の方へ力いっぱい引き寄せた。
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/ h0 r) H c* r- i* W5 A) i「あぐっ……ぅうう」, K/ G* D- q" V# w
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! A) c' H/ W' [$ m; j流川の体から上がっている瘴気が三井の皮膚を焼く。三井は噛みしめた歯の間から声を絞り出した。
: j# s& f: n% V6 r1 G* S( G J- H+ [. x, z
, h9 U$ @3 H$ J* E. iwww.micchi14.net「こいつは出来損ないなんかじゃない。あんたたちは自分に都合のいいものしか見ていないだけだ。てめえらの都合に合わなかったからって、勝手に人間の価値決めてんじゃねえ!てめえらみてえな奴らが、五行相生・五行相剋を説いてるなんざ、寒気がするぜ!」$ h" u) Y( P: }/ x
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三井は言葉を切った。威勢のいい言葉を吐いてはいるが、肘から先以外は一切動かず、重ね合わせた胸が瘴気に焼かれ、熱くて痛くて仕方がない。間近で瘴煙を吸い込んで、呼吸も上手く出来なくなっている。しかし、ここでやめるわけにはいかない。体を離そうとする流川を必死で抱き込んで言葉を継ぐ。
$ n/ |. C+ Y2 Y5 z+ ?: @www.micchi14.net寿受主义——爱就是给他全部!* z: y" g/ x9 C3 E
8 q- r* X: V! E* Y- c5 Y「確かにこいつは陰陽師の修行なんかしねえかもしんねえ。バスケ以外は寝てばっかで、何考えてんのかわかんねえ奴さ。けどな……」
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三井は、体全体から流川の体に向けて法力を注ぎ込むように念じた。' ^7 i) A- i: q
" U3 Y8 Y+ \& @/ h7 m6 Z# Ewww.micchi14.net
; R' o' u) s; ^6 L8 J「けど、こいつはすげえ奴なんだ!バスケで世界を相手にできる奴なんだ!!親父がしたことも、千年の恨みも関係ねえ!こいつの体はこいつのもんだ!!意趣返しの道具に使うなんざ、絶対に許さねえ!!」- S7 g7 D' h5 g0 c* P, k& E
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『ガアアアアア!』0 p& |4 w4 D# D! I7 ]- C0 _3 _9 [* o
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, U, b3 l% r. {" q. o, J' O2 {4 t流川の中の蟲が、苦悶に吠えた。
5 W) u2 O) N0 I# V: ?/ Jwww.micchi14.net 霊力のある者は見れば、その時三井の体は金色に光り、その光が流川の体を包み込んでいただろう。どうすればいいのか、その方法が三井に分かっていたわけではない。ただ、流川の体は渡さない。そう。強く願っていただけだった。0 O$ _% X: v4 o; B2 R3 c5 _" H
5 e% s* Z$ x/ B" p& ]www.micchi14.net# k! Z) O0 K' X5 O) f: \2 d
(唵孫婆爾孫婆吽婆娑羅吽拌託)
" G1 I: e( q6 a7 z1 Awww.micchi14.net# M* Y8 m: G% S- w% x
『ギャアアアアアアアア!!』4 i i5 F. x0 y4 T* g1 l
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突然、頭に流れてきた真言を念じていた。その瞬間、体育館全体が大きく揺らぎ、三井の呪縛が解けた。三井は自由になった体で力の限り流川を抱きしめた。シュウシュウと瘴煙が小さくなり、三井の体に取り付いていた虫たちも、煙となって消えた。体育館の床や壁を埋め尽くしていた虫も、何処かへ去っていった。5 n8 S; T- P+ m% Q) `4 V2 I
www.micchi14.net! q. M0 e* B' y4 I
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三井の体からカクリと力が抜けた。肺が空気を求めて大きく忙しない呼吸を始める。
$ {6 f% o! N$ f" |+ W7 Q寿受主义——爱就是给他全部! それと同時に、体の上の重みが消えた。
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「み……三井さんっ!………あっ!」! r3 I; y0 J: i; ~
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驚いたように叫ぶ声は紛れもない流川のものだ。流川は爪が消えた指にべっとりとついた血痕に驚き、抉れた三井の胸を見て茫然としていたが、やがてすべてを思い出したようで、眉根を寄せて三井を見ると、優しく三井の体を起こして抱きしめた。
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「すまねえ……三井さん…すまねえ……」www.micchi14.net6 b' Y' W) D* M% c1 d6 R
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0 c! x A/ E1 [7 n寿受主义——爱就是给他全部!震える声で謝る流川の髪を、三井は優しく撫でた。
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「お前があやまることはねえよ。俺の方こそ、親父のやったことで、こんな危険な目にあわせちまって済まなかった」
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1 P4 D- U/ x# {) {4 [4 p# I: k7 H
9 Z; ~/ @! q* _' s9 z- Q二人が視線を合わせた時、瘴気の煙はほとんどが消え、幻覚で作られた傷や血は、痛みこそ残るものの視界には映らなくなっていた。
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異変を察し、車を飛ばしてきた三井の父があの後すぐに表れた。後の処理はいろいろと面倒なこともあったらしいが、それもほどなく落着した。賀茂家が明によって受けた傷は、流川と三井の傷害未遂を不問にすることとで相殺となったようだ。+ h- {8 C" w; U" q4 x
三井は明の口から今回の仕事の内容とそれが引き起こした結果を聞き、千年の恨みとやらについても聞いた。流川からも彼の複雑な生い立ちを聞いた。どれも酷い話だと三井は思った。
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いよいよ受験を目前に控えたある日、居間に三井を座らせて、明は言った。0 y' ~2 H+ m, F+ A
- H r1 F; B _- p$ y* q寿受主义——爱就是给他全部!
" K+ g0 Z1 h$ q% k% w3 w「寿。今からでも進路を変えていいんだぞ」
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三井は父親の目を見上げ、頭を振った。
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「いや。変えねえよ」
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明と聡子は目を見かわした。三井は言った。www.micchi14.net4 N9 ]* F) g; H* n; S, b5 [
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7 v+ b3 Z; n: \( @2 J( Hwww.micchi14.net「俺は陰陽師になる。なって、これからの陰陽師のあり方を探す。政府の保身のために人を苦しめたりしねえ。もっと誇りを持てる仕事にしてえ。そう、思うんだ」www.micchi14.net' X0 @, [1 j4 e8 S1 u0 I0 p
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9 @; ^6 @8 p r, ~そうして三井は、高野山大学を受験した。
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: x5 F Z4 r# X2 ~9 b. n6 R- M3 ?) y寿受主义——爱就是给他全部! 四月になり、三井は一枚の護符をポケットに忍ばせてロードワークに出かけた。いつもの場所でブチ猫が現れると。三井は走るのを止めゆっくりと近づいて、ブチ猫の前に護符を置いた。www.micchi14.net& |* x0 W) w# A7 [' Y2 O
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「待たせたな」
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三井はブチ猫に向かって静かに言った。ブチ猫は小首を傾げたが、いつものように道路を横切ろうとしていた体の向きを変え、護符の前にちょこんと座った。
4 }" B2 M# h1 x6 s' a) I+ Z 三井は猫の前に足を組んで座り、光明真言七種印を次々と結びながら心をこめて唱えた。 `9 o: v; P4 g: E r- a7 Q$ D
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「唵阿謨伽尾盧左曩摩訶母捺囉麽抳鉢納麽入嚩攞鉢囉韈哆野吽……」$ j3 F$ O; Y n1 o5 E
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, P# j( k- h; f, m7 j7 a最後の八葉印を切り終えた時、護符から小さなシャボン玉が舞い上がるような光が放たれ、その中でブチ猫は洗われるように澄んだ光体となって空へと消えていった。
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" M( e4 |( `" R( s, ^. l7 d寿受主义——爱就是给他全部!8 V9 ]5 e6 n: M
『ナァ~ウ』
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# D1 D$ L( T, f寿受主义——爱就是给他全部!虚空から甘えたような猫の鳴き声が一声聞こえた。
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「………すげえな」+ M, _8 V2 @3 B. n, x, |9 Y
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突然背後から聞こえた声に、だが三井は驚きもせずに振り返った。少し離れた場所に、流川がひっそりと立って猫が消えていった空を見上げていた。
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# x* l0 H% H1 z3 B: A寿受主义——爱就是给他全部!「毎日ここを走るたびに出てくるからさ。ずっと気になってたんだ。行く前にあいつだけは送ってやろうと思って、受験が終わってからずっとこればっか練習してた。おかげでその辺で迷ってる奴らがうちにいっぱい寄って来て、親父には怒られたけどな」
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そう言って笑う三井を、流川は眩しそうに見つめた。
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% X' k( ~2 a- H& j* [6 e0 r% Q「で?お前何でこんな朝早くにこんなとこにいるんだ?」) _' p% L* U$ j6 ?' W" {7 n H$ r
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k5 n3 O& G \$ V4 Zwww.micchi14.net三井が尋ねると、流川は言った。6 `) o9 H6 c" a c/ P4 P( a0 E
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「アンタ、今日高野山に行くって聞いた。けど、何時に発つのか知らなかったから」. @3 g7 r" l; y9 Q2 z& `
v3 ^4 \: s- v* Jwww.micchi14.net「それでこんなに早くに来たのかよ。そりゃ悪かったな」
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流川は首を振って豊かな黒髪をなびかせた。/ j. K( x. Q- `. D0 J
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「夏には、帰ってこれるんすか?」( k6 _* g, k( D+ a- W
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6 F5 J5 ?, v" d! m三井は困ったように眉を寄せて首を捻った。5 Q/ n& F% Z$ A* i; }
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「どうだろうな。修験道的には夏は霊山修行のシーズンだからな。ひょっとしたら、山籠もりさせられるかもしんねえ」& }7 c v/ ^3 v* H" A
6 j4 _9 V4 Q; T, j「今年は千葉っす」
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「ああ。インターハイか」
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「絶対に行くんで」
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. B! J1 i9 M9 i相変わらず言葉が足りなくてこっちが想像して補ってやらなければ会話が成立しないが、三井は流川とのこんなやり取りが嫌いではなかった。これからこいつともなかなか話せなくなるのか。そう思うと、少し寂しさがこみ上げてきた。6 @$ i5 H5 S/ G$ U. w
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「わかった。山籠もりが入っても決勝戦だけは見に行くから、絶対に全国制覇しろよ」4 r+ N9 y& W+ ?* T# u s
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「うす」' p7 q3 C4 d7 c# P& @
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そう答えて、流川は軽く俯いた。顔を上げた時、黒い瞳が三井の瞳を捉えた。
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「この体は、アンタがくれたもんだと俺は思ってる。俺が産まれてすぐどっかに行っちまった親なんかじゃなく、あの時必死で俺を守ってくれた、アンタがくれたもんだと思ってる。だから負けねえ。誰にも負けねえ。俺は、バスケで世界を目指す。アンタのバスケへの思いも、俺が世界に持っていく」0 A" d5 a1 q, `. ^6 g
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言いきった流川の熱さが、三井の心を包んだ。つい目頭まで熱くなって、三井は微笑んだ。. u U+ G" ? k$ q; c/ B" p
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4 v/ L0 b: b; t/ `! Z+ ]9 P「ああ。頼んだぜ」
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三井は歩み寄って流川の肩を抱き込み、うちで朝飯を食っていけと誘った。% u7 ]1 G1 T/ Z* K, D) A
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『迷い猫』 完